戯言

秘境にて 〜前編〜

土曜日。友人の結婚式の為に故郷である長崎県諫早市に帰った。
 
実家が無くなった僕は、いつもなら、まさにその結婚した友人か、ふなくんの実家に泊まるのだが、結婚式当日の新郎の実家に泊まるのは勿論ナシで、ふなくんも嫁息子を連れて帰省しているとのことで、数年ぶりに諫早の秘境 本野に実家を持つ友人の世話になることにした。
 
簡単に言えば、スーパー山奥。久しぶりに行ったが、凄まじかった。
 

 
 
シンプルに空がデカイ。

 
 
空気が透明で、遮るものが無い。
 
 
玄関の引き戸を開けると、名前入りのジャージを纏った友人Kが居間の炬燵に座ったまま出迎えてくれた。
着いて早々に、「本野の神秘ば見て行くや?」と庭に連れ出された。
 
「金魚ば、鯉と同じ池に入れて育てよったら、空気読んで、ばりデカくなった。」と。
 
 

 
 
 
デカイ。
 
 
 
比較対象が鯉しかいないから、わかりづらいけど、この鯉も、だいぶデカイ。
そからのフナとかより全然デカイ金魚だった。
 
 
そもそも、この秘境の生物達は、基本的に何でもデカイ。
 
この日も一般的なカナブンくらいの大きさの蝿が飛び回っていたし、
高校時代、僕はここで襖の障子1マス分くらいの大きさの蜘蛛を見て戦慄したのを覚えている。
 
 
 
ちなみに、帰り際にいただいたお土産の椎茸もこのデカさだ。

 
 
本野スゴイ。
 
 
 
 
続いてインフラ部門。
 
 
誇張は良くないので、電気ガス水道があることは否定しないが、K宅では、こちらの水も現役で飲み水として使用されている。
 

 
井戸水?か 湧き水?かわからんけど。
 
 
ちなみに高校時代、彼の家に来た時にはド圏外だった携帯の電波が、今では整備されていた。
ソフトバンク孫さんの仕業らしい。
 
 
 
 
こちらはK宅の目の前にあるバス停。
 

 
勿論この路線の最果てである。
 
県営のバスながら、ある程度、山の中腹を過ぎると、そこからこの最果てまでの区間では住民達が手を挙げて、タクシーのように各々の家の前で降りてゆくのが許されるらしい。
 
 
 
 
こんな感じで久々の秘境を経由した後、僕らは長崎市内へ出発した。
そして、オシャンティー炸裂の素敵な結婚式を満喫した後、高校時代の友人5人で再びここへ戻った。
 
 
都市と秘境の落差たるや。
 
しかし、それでも絶対値で言えば、本野の秘境ぶりの方が圧倒的に大きい。
 
 
ちなみに、ここで明かすのも何だが、このKというのは、以前こちらの記事で触れた、10年以上前に僕に量子コンピュータについて語ってくれた友人その人である。
 
彼は今でも、僕が直接知り合った人間の中で、最も賢い男だ。
偏差値基準でも、地頭の良さ基準でも。
 
彼は今、ゴリゴリの一流商社マンで、世界中を飛び回りながら、東京の中でも家賃がお高い区に住んでおられるらしい。
 
長崎市内との比ではない落差を行き来する男だ。
 
 
ちなみに夜は、この秘境で、ビジネスの最先端やらテクノロジーの最先端やらグローバリズムやらについて、またしても風景との落差が凄まじい議論をさせていただいた。
が、その感想は後編として分けて、後日また記そうと思う。
 
 
 
 
話を本野の秘境っぷりに戻す。
 
 
夜の本野もまた凄まじい。
 
 
街灯が無さすぎて、空が澄みすぎて、
 
 
星が、見えすぎる。
 
 
 
この凄まじさがiPhoneのカメラには映らないのがもどかしかった。
 
 
星が見えすぎて、多すぎて、
かの見つけやすさで有名なオリオン座ですら探すのが大変なのだ。
 
生プラネタリウム。
 
 
ガチ流れ星も、そこそこな頻度でぴゅんぴゅん流れる。
 
 
 
そういえば、僕も昔、ここで見たけど、シーズンだと蛍も同様の現象を起こす。
 
見えすぎ多すぎ現象。
 
 
 
 
本野、素晴らしい。
 
 
 
で、クソ寒い。
 
冬の本気ネマキながら、震えて眠った。
 
 
 
 
最後にもう少し、秘境云々ではない体験を。
 
 
翌日、僕らは再び、本野をぷらぷらと歩いて回ったのだが、33歳のおじさん達が白熱して2時間くらい遊んでしまったのが、これ。
 

 
どんぐりゴマ大会。
 
 
どんぐりに穴を開けて爪楊枝を刺すだけのコマ。長く美しく回るよう、ひたすらに試行と改良を繰り返す。
 
 
おじさん達、本気になって真っ昼間からネマキで、よく回りそうなどんぐり集めと制作に没頭した。
 
 
近年で最も楽しい無駄な時間を過ごした。
 
 
 
 
本野、素晴らしい。
 
虫デカイから住めないけど。
 
 
 
 
 
 
夕方、K一族に例を言って、下山。
 
 
結婚式の引出物に加えて、デカイ椎茸と袋いっぱいのミカンと、
一番よく回る渾身のどんぐりゴマと、
そして、コマ用ではない、できるだけ綺麗などんぐり十数個を持って、北九州に戻った。
 
 
 
今度は嫁と息子も連れてお邪魔させていただこう。
 

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